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千葉県佐倉市の英雄2人をかたどったねぶたが夕闇を照らし浮かび上がった。同市の依頼で青森市のねぶた名人・千葉作龍さん(69)が特別に制作した「佐倉ねぶた」が佐倉市の京成臼井駅に設置され、23日に披露された。その名も「佐倉の雄　雷電為右衛門・長嶋茂雄」。ねぶたに灯がともると市民から大きな喝采が起き、駆け付けた千葉さんはほっとした様子で作品を見つめた。
　同市臼井地区はプロ野球巨人の元監督・長嶋茂雄さんの出身地で、史上最強とされる江戸時代の力士・雷電為右衛門が晩年を過ごした土地。ねぶたは幅6メートル、高さ2.2メートル、奥行き3メートルの中型で、温和な表情を浮かべた長嶋さんと勇壮な姿の雷電に竜と虎を配した。自身がモデルのねぶた制作は、長嶋さんも快諾したという。地元の臼井ショッピングセンター協同組合（鳥羽敏彦理事長）は、ともに取り組んでいる「一店逸品運動」を通して青森市新町商店街振興組合と交流が深く、同じ協同組合方式を取っている同市のサンロード青森とも縁がある。鳥羽理事長らは2014年に視察で青森市を訪れた際、ねぶたの家ワ・ラッセなどで見学したねぶたに感動。同協同組合でも「ねぶたを自作したい」という機運が高まり、佐倉市の協力が得られたことから今年、ねぶた制作を実現できた。
　同市の依頼を受けた千葉さんは10月上旬からねぶた制作に着手。長嶋さんにはリアルさを出すため、ろうを使わないなど工夫を重ね、今月15日に完成させた。
　23日夕、京成臼井駅前ロータリーで行われた同市主催の除幕式で、「長嶋さんは竜のように賢く、雷電は虎のごとく強いというイメージで作った」とあいさつした千葉さん。取材に「長嶋さんはわれわれの世代にとってスーパーヒーローで、名誉なこと。プレッシャーもあったが、ねぶたを通じ長嶋さんをたたえたいという思いで作った。思った通りの出来で安心した」と語った。
　除幕式でねぶたを目にした佐倉市の高森東洋さん(73)は「長嶋さんと雷電の雰囲気が十分伝わる作品。豪快で元気をもらえた」と感激した様子。ねぶた制作を仲介した新町商店街の伊香佳子さんは残念ながら除幕式には出席できなかったが、取材に「一店逸品運動を通じた交流から、すてきな話になってすごくうれしい」と喜んだ。佐倉ねぶたは24日、同協同組合が運営するショッピングセンター「レイクピアウスイ」に移設されて飾られる。また来年8月には、同駅前で開かれる「臼井ふるさとにぎわい祭」で運行される予定という。同協同組合の関係者は「来年の祭りにはぜひ長嶋さんに参加してほしい」と熱望していた。