かつて青函航路で運航された高速船「ナッチャンWorld」(総トン数1万549トン)が2月に観光船として本格的にデビューすることになった。海運会社大手のリベラ(本社広島県呉市)が、船上からの花火見物やディナーを楽しむツアーなどで活用する方針。8月には青森ねぶた祭と青森花火大会に合わせたクルーズを予定している。リベラの担当者は「さまざまな企画をし観光船としての活用を継続していきたい」と意気込んでいる。ナッチャンWorldは、縦長の二つの船を並べてデッキ同士をつないだ双胴型で、世界最大級のウオータージェット推進機を搭載し高速運航が可能。全長は112.6メートルで、旅客定員は500人。トラック50台と乗用車110台分の積載能力がある。2008年に青函航路に投入されたが、燃料高騰などのあおりを受けて同年限りで定期運航から撤退。その後、リベラグループの津軽海峡フェリー(本社函館市)が青函航路で不定期運航していた。現在は函館港を拠点にしており、防衛省が災害派遣などに備えて自衛隊員や物資を輸送する契約を結んで使用している。同省関係での活動時期以外について、リベラは地域振興の観点からクルーズ企画や、物産展、飲食フェス、企業のセミナー会場などのレンタルホールとしての活用を検討。準備が整ったことで今年、年間10本程度のツアー、イベントを行う予定とした。青森ねぶた祭・花火大会(8月7日)に合わせたクルーズのほか、函館、苫小牧、釧路、紋別、稚内、小樽の道内6港を8日間で巡るツアー「北海道一周・Sea級クルーズ」(8月22~29日)などを計画している。
同社企画室の多田政行課長は取材に「定期航路ではないことからさまざまな企画ができる。確実に増えているインバウンド(訪日外国人旅行)の受け入れも進めていきたい」と話した。