5月29日
青森
ねぶた小屋 ラッセランド
東京都目黒区のホテル雅叙園東京(目黒雅叙園)で開催中の「土佐から来たぜよ! 坂本龍馬展」で、青森市のねぶた師・北村春一さん(36)が黒船をモデルに制作したねぶたが展示されている。牙をむく鬼の顔を船首に据えて蒸気船の威容が江戸庶民に与えた衝撃を表現。ねぶたでは珍しい黒が基調の作品に挑んだ北村さんは「造形美術としての新たな可能性を示したい」と熱意を込めた。
黒船ねぶたは高さ2.5メートル、幅2.4メートル、奥行き3メートル。ホテルロビーからエレベーターに乗って展示会場に着くと、真っ正面に目に入るよう配置されている。ホテル側から制作依頼を受けた北村さんが、約1カ月かけ5月中旬に完成させた。黒船を妖怪に見立てた錦絵が実際に残っていることに着想を得て、鬼の顔を大胆に据えるデザインに決めたという。北村さんは「船の重厚感を保ちつつ、鬼の顔の立体感を出すため塗料を工夫した」と制作過程を振り返る。2011年にねぶた師としてデビューした北村さんは、SF映画「スター・ウォーズ」を題材にしたねぶたを発表するなど伝統の世界に新しい風を吹き込んできた。黒船ねぶたで表現の幅を広げ、「自分にとっていい挑戦になった」と手応えを語る。「坂本龍馬展」は、同ホテル内の都指定有形文化財「百段階段」で25日まで開かれている。現在休館中の高知県立坂本龍馬記念館(高知市)の巡回展として企画され、龍馬の手紙や刀、ピストル(模型)などを展示している。