8月3日
青森ねぶた祭より
青森市民ねぶた
五木ひろし
わすれ宿/のぞみ(希望)/男の友情
発売日:8月23日
「わすれ宿」 作詞:中山大三郎 作曲:船村徹 編曲:前田俊明
「男の友情」 作詞:高野公男 作曲:船村徹 編曲:蔦将包
「のぞみ」 作詞作曲 船村徹
DVD付き わすれ宿 定価1,500円 CD1,300円
■流行歌手へ
転機は1970年。
オーディション番組『全日本歌謡選手権』に歌手生命をかけて出場。みごと10週連続で勝ち残り、グランドチャンピオンに輝いた。これを契機に山口洋子と平尾昌晃に師事。翌71年春に4つ目の芸名“五木ひろし”に改名・再デビューした。当時流行作家だった五木寛之からとった名前である。
そして出会ったのが「よこはま・たそがれ」(作詞:山口洋子/作曲:平尾昌晃)。
「よこはま」「たそがれ」「ホテルの小部屋」
「くちづけ」「残り香」「たばこのけむり」
「ブルース」「口笛」「女の涙」……と単語の羅列というそれまでに例のない詞だった。
「あの人は行って行ってしまった」「もう帰らない」と文章が出てくるのはサビだけというユニークさだ。そして曲は平尾が初めて手掛けた演歌作品。モダンでソフトな曲調となった。
さらに画期的だったのが、五木のポーズ。左手にマイク、体をやや斜めに構え、右手は拳を握った。所属プロダクションが、チャンピオン沢村忠などを輩出したキックボクシングの事務所だったからか、自然に出来上がった格好だった。かくして新しい演歌歌手が誕生し、スターダムにのし上がって行ったのである。
■『ザ・ベストテン』のエピソード
番組では、1978年から89年まで12年続いた『ザ・ベストテン』の中のエピソードが紹介される。
1位をとった「おまえとふたり」(作詞:たかたかし/作曲:木村好夫)の時には、番組側がリクエストはがきで階段を作り上げた。「靴を履いて乗るわけにはいかない」と、五木は裸足になって熱唱した。
母のために建てた福井の豪邸から生中継したこともあった。
テロップで「五木邸をバックに衛星中継でご覧ください」と“衛星中継”を強調している点がおもしろい。実は当時の『ザ・ベストテン』は、ランクインした歌手を追ってどこへでも行くことを売りにしていた。ハワイや豪州などからの衛星中継が入るようになっていたが、TBSの系列局がない福井も“衛星中継”の対象となるほど大変な場所だったようだ。
しかもラストの映像がおもしろい。豪邸の門から、神社かと思える豪華な庭をカメラがなめると、庭に面した和室がフレームインする。すると親戚縁者など50人がカメラに正対している。五木は「夢が実現した」と言っていたが、まさに“故郷に錦”、敗戦の焼け跡から高度経済成長した日本を象徴するような映像だった。